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フォイヤーウェアについて



フォイヤーウェアが作品として素晴らしい点の1つに、素材そのものに既にストーリがあるということが挙げられます。

マテリアルは、消防車に積載され、消防士の訓練、実火災への消火活動などに使用された消火ホース。



タフであること。防水であること。火災から命を守ること。建物や財産を守ること。そして、町の歴史を守ること。

書き出すとキリがないのだけど、パッと思い付くだけでもそれだけの使命があります。



また、ドイツの消火ホースには、製造番号やホースが配置される町の名前、その他が印字されます。作品は、それをデザインへと昇華させているので、素材のテクスチャーとしても同じものが一つとしてありません。






耐圧テストに合格できなかったホースは、使用感、いわゆるヴィンテージ感のない綺麗な表情をしています。





ガッツリ使われたであろうホースは、好き嫌いが激しく別れる表情となります。僕はこちらの方が好きなのですが、全く違うことがお分かりになると思います。




ホースが「Feuerwear」に生まれ変わる瞬間


人命を守る

建物を守る

街の歴史を守る



その使命を全うしたホースは、産業廃棄物になります。厳しい耐圧試験に合格しなかったものもそれに含まれます。



ホースの平均使用期間は8年から12年。

長さは15mから20mあり、製造メーカーや経年数によって色や表情が異なる他、ホースには街の名やロット番号などが印字されており、同じ物が二つとない世界で一つのマテリアルとなります。



ドイツのホースは、圧力60バールまで耐えうる耐久性に優れた素材。(車のタイヤは2〜3バール)防水性にも優れており熱にも強い素材です。



表面の素材はポリエステル。画像の作品のように、ホース表面をポリウレタンでコーティングされている素材もあります。





圧力に耐え、更には水漏れも防ぐためにホース内側には合成ゴムを使用。



過去3年間に製品として生まれ変わったホースの量は約100,000m、重さにして約50トン!

それだけのゴミを削減することができてるのですから、フォイヤーウェアの活動は素晴らしいですよね、本当に。



フォイヤーウェアは、ドイツ国内98の消防署から、産業廃棄物として扱っていたホースを提供してもらっています。

消防署にフォイヤーウェアのGitterboxを設置し、破棄するホースはこの中に入れられフォイヤーウェアが引き取りに行く、という流れです。





当然ながら、その全てのホースが使用できるわけではなく、厚さと幅によって製品加工できるホースを選別し、一本、一本スタッフがクオリティや色落ちしないかチェック。また、この強いホースを裁断するために、特殊なカッティング機械を使用。





(画像は思いっきり普通のハサミですね笑)



その後は、工業用洗濯機でホースを洗浄する工程に入りますが、水を含んだ重いホースは脱水時に洗濯機のバランスを崩してしまうので、地面にコンクリートの囲いを埋め込みその上に洗濯機を設置、固定するという涙ぐましい努力があります。





洗濯後は、何と一度に275mもの長さを乾燥できるツールに引っ掛ける干すのだとか。



フォイヤーウェアの工場では、それらの工程を終えたホースが綺麗に選別され並べられており、前記した印字などのバランスを見ながら一つ一つ職人さんの手で作品に生まれ変わります。









際立つブラック

フォイヤーウェアの基本ラインは赤色、白色、黒色。



お客様から「黒色のホースもあるんですね」とよく言われますが、フォイヤーウェアのブラックはホース内面を形成するゴムの部分を表面に持ってきています。





上の画像は、トートバッグ「Dan」です。

引き締まった表情でとてもカッコいいですね。



表面の構成は上から順に、ホース、ファスナー、ターポリン。

更には一本のホースを折り曲げて側面と底面を形成しています。



一直線の白いステッチラインのような部分は、そこだけゴムの部分をカットし下地であるホース表面を見せることで作品のアクセントとなっています。



その白ラインも、素材の使用感と経年変化により同じものが1つとしてなく、フォイヤーウェアのブラック作品に変化を与えています。



そして、ホース内面のゴムを表面に持ってくるということは、内部は当然下の画像のようになります。





フォイヤーウェアのブラックは、他色のホースに見られる「印字を含めたデザインの楽しみ」がない分、このような形で落ち着いた仕上がりとなっており、仕事でも使われている方が多いです。



個人的には、赤ラインも出せばいいのにと思ったりしていますが笑



更にフォイヤーウェアのブラックには、見逃せないもう一つの魅力があります。

それは、合成ゴムをコーティングした際に出来る凸凹です。



え?!それだけ!!?と思われるかもしれませんが、それによって同じブラックでも全く違う表情となり、お客様を惑わせる要因ともなっております。





【ざらついたブラック】



また、ホース自体が複数層で構成されてるのでしょうか、ポリエステル素材の影響を全く受けない無表情のブラックもあります。





【無表情のブラック】



ブラックの作品に対しても、「世界に1つとして同じものがない」という看板を支えているのがそれら2つの要素となります。



ギャラリーシレンシオに、その魅力が凝縮された作品があるので少しご紹介いたします。





ラップトップバッグ

Feuerwear Scott15

ノートパソコンを収納できる、ビジネスマンに人気の作品です。





表面は【ざらついたブラック】

撫でると、微妙なざらつきが心地よいです。





側面と底面は【無表情のブラック】

触るとわかりますが、ツルツルしています。





鞄のフタ部分の白ステッチ

画像より少しだけくすんだ白となります。





本体の白ステッチ

フタの白より、もっとくすんでいます。

タバコのヤニが染み込んだような、黄土色に近い表情となっています。





フタを開けるとホース本来の表面が現れます。

ホースを引きずったのでしょうか、擦り傷があります。





側面と底面。

ホースからキツネが顔を出しているロゴマークが可愛いですね。荷物を出すとこんな印字が見えてくるのも、フォイヤーウェアブラック作品の魅力です。



安定の赤、人気の白、そして・・

フォイヤーウェアの赤色と白色の作品は、ホースの状態、印字のあり方によって表情が激しく違ってきます。それはもう、劇的に違います。

擦り傷や汚れ、中には火の粉が飛んだ焦げ跡があるものもあります。



同型同色なプロダクトなのに、これだけ千差万別な表情を魅せるという事実が、フォイヤーウェアが展開するアップサイクルデザイン最大の魅力であると断言してよいでしょう。



マテリアルの状態によっての色の違いは、大きく分けると以下のようになります。 



?使用感のない綺麗な色

?多少使用感がある色

?使用頻度が高い色



この三つに加え、ウレタンコーティングの有無、印字の有無とその配置が加わってくるので、型が好きでも表情のデザインがちょっと好きではないということもあります。



ギャラリーのお客様で、この型の好きなデザインが入荷するまで待つよとおっしゃってくださるお客様がいます。少量の扱いしか出来ない現状に申し訳なく思っているのですが、それほど好みがハッキリと出てくる作品となります。



僕がヴィンテージを好むこともあって、ギャラリーシレンシオでは、綺麗な作品1に対して使用感がある作品2の割合を意識してオーダーしています。



ギャラリーにある作品で見比べてみましょう。





【メッセンジャーバッグ15L】





【ラップトップバッグ13L】





【ヒップバッグ】



これらの作品は、耐圧試験に合格しなかった、もしくは、何らかの理由でそれほど使用することなく破棄処分となったホースを使用しております。

そのため、非常に綺麗な仕上がりとなっており、ホースと印字の明暗も色濃く出ております。お客様からご好評いただくのもそれらの作品が多いです。



次はこちら。





【ショルダーバッグ Walter】





【ショルダーバッグ Jack 】





【ショルダーバッグ Carl】



この三つは、使用感という意味でその状態がバラバラです。この中では、Carlが一番使用感がありません。多少汚れてるなという程度で、白色も保持できています。



Walterは擦り傷や引っ掻き傷が散見され、更には汚れも染み込んでおり、全体的に少しくすんだ白色をしています。

Jackに至ってはもう、「今までありがとう、お疲れさまでした」と声をかけたくなるほど酷使されたのがありありとわかります。赤色と言えばそうなのだけど、表現に困る深い色を出していますね。



次はこちら。





【ラップトップバッグ15L】







【ショルダーバッグ Carl 】





【バックパック Elvis 】



この三つの作品は、ホース表面をウレタンコーティングしてあり、それ以外の作品と比べても使用感、印字ともにハッキリと出る存在感ある力強い作品となります。

唯一無二という言葉がピッタリです。



白色がないのがかなり残念な在庫状況ではありますが、この三つの作品に共通しているのが、「売れない」ということでしょうか 笑



ウレタンシリーズ(今後はこう表記いたします)に関しては、カッコいい!可愛い!という声が大多数なのですが、いざ購入して使うとなると引けてしまうんでしょうね。



ですが、作品の着用画像、いわゆるスタイリングを観ていただくと、とても素敵な作品であることがわかります。





【ショルダーバッグ Carl 】





【バックパック Elvis 】





【ショルダーバッグ Carl】



全然カッコいいですね。

二人のモデルさんに協力していただきましたが、二人とも本気で欲しがってたのが印象的でした。



マテリアルの背景やストーリーが一番出ているのが、使用感の激しい作品、そしてウレタンシリーズの作品だと僕は思っているので、これからもオーダーを続けると思います。



印字のデザインとして面白いものがあるのでそちらも紹介いたしますね。





【ドキュメントケース PeteA4】





【ドキュメントケース PeteA4】



いわゆるシステム手帳です。

上画像の作品は青色の印字がうっすらと浮かび上がる、主張のない作品です。とはいっても、Pete A4のサイズがかなりの大きさなので、これを持ってるだけでも相当なインパクトとなる為あまり関係ないかもしれません。



下画像作品は「V」の印字のみ。ホースの向きを見ても、Vではなく「<」とも見れますし、どういう意図の印字なのかいつも不思議に思います。

たまにこういうワンポイント印字の作品があるので、気になる方は申し付けくださいませ。



そして、最近では「LIGHT LINE」という新色も発表されております。





【ショルダーバッグ LIGHT LINE Jack】

目が覚めるような黄色の蛍光色です。



こちらは、夜間消火活動用のホースとなり、他ホースと比べその絶対数が少ないため、ドイツとヨーロッパのみで流通している作品となります。



ウチで扱っている作品の中に好みのものがなければ、お客様のご希望ご要望を承ってフォイヤーウェアに確認するということもしております。